文献詳細
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文献概要
近年急速に発達してきた蛋白代謝や水分及び電解質平衡に関する数々の知見が,実際に臨床的にも應用されて輝かしい成果をあげていることは,周知の事実である.これらの知究のすゝむにつれて,治療の指針とするための各種臨床検査手技もまた,從来の單なる濃度のみを基準として取扱つてきた考え方から,ようやく量的の測定を根拠とする方向へむかつてきたようである.殊に外科臨床においては,手術を中心とした加療の際,かなり多量のしかも高張の溶液も頻繁に注入されるようになつてきたが,このことは同時に,体液の増減及び細胞内外各区の分布変動という面で,種々の問題をなげかけていると考えられる.細胞外区の検索については,既にこれまでに幾つかの方法が考案され,多方面からの批判検討を経て,現在実地臨床上にもかなり広く應用されている.しかし細胞膜の彼方,細胞内液の化学ということになると,諸学者の研究・努力にもかゝわらず,依然として狹き門のなげきを残していた.放射性同位元素の應用は,この方面の解明に大きな希望をいだかせたが,乏しいわが國の現状では,これもいわば高嶺の花にとゞまるべきものであつた.1949年Soberman等が身体の全水分量を測定する方法としてアンチピリン法を提唱して以来,米國に於いてその追試の文献がようやく数多くみられるようになり,本邦に於いてもまた内科方面でその追試成績が発表されるに至つた.
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