文献詳細
文献概要
特集 頸部外科臨床の進歩
氣管切開
著者: 林義雄1
所属機関: 1慶應大學醫學部耳鼻咽喉科教室
ページ範囲:P.773 - P.781
文献購入ページに移動1.氣管切開の歴史
氣管切開の長い歴史は色々の見地からも注目に値するものである。この手術はキリスト前百年に既にAsklepiadesに由り考えられていたと言う。人間で最初に氣管切開を行つた人はAntonio Musa Brasavolaで16世紀の初めFeraraに於てであつた。その頃氣管に達する方法は大變まちまちであつたが上部氣管輪の間を横切開の下に行つたという。然しFabricius ab Aqa pendenteはその頃既に氣管カニユーレを用いていたし,Casseriusはこの手術を理論的に擴大した。第二回目の氣管切開はSanctoriusが16世紀と17世紀の轉換期に行つている。17世紀初めには巴里のHabicotが屡々行い短直カニユーレを使用した。St.Andrewの看護人George Martinが1730年に氣管切開をした一人の患者に對して初めて二重カニユーレを使用した。1745年にはMorgagniはこの手術にとつて大切な目標であり厄介物である甲状腺の狭部(Isthmus)を發見し,1765年Homeはクループに對する氣管切開を推賞した。
TrousseanとBellocはクループや喉頭結核の患者に度々氣管切開をしたがその後は主としてカニユーレの工夫に進歩が見られ1776年Göttin—genのA.G.Richterが現在用いられているようなカニユーレを作つたのである。
氣管切開の長い歴史は色々の見地からも注目に値するものである。この手術はキリスト前百年に既にAsklepiadesに由り考えられていたと言う。人間で最初に氣管切開を行つた人はAntonio Musa Brasavolaで16世紀の初めFeraraに於てであつた。その頃氣管に達する方法は大變まちまちであつたが上部氣管輪の間を横切開の下に行つたという。然しFabricius ab Aqa pendenteはその頃既に氣管カニユーレを用いていたし,Casseriusはこの手術を理論的に擴大した。第二回目の氣管切開はSanctoriusが16世紀と17世紀の轉換期に行つている。17世紀初めには巴里のHabicotが屡々行い短直カニユーレを使用した。St.Andrewの看護人George Martinが1730年に氣管切開をした一人の患者に對して初めて二重カニユーレを使用した。1745年にはMorgagniはこの手術にとつて大切な目標であり厄介物である甲状腺の狭部(Isthmus)を發見し,1765年Homeはクループに對する氣管切開を推賞した。
TrousseanとBellocはクループや喉頭結核の患者に度々氣管切開をしたがその後は主としてカニユーレの工夫に進歩が見られ1776年Göttin—genのA.G.Richterが現在用いられているようなカニユーレを作つたのである。
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