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綜説
リンパ腺結核への塩基性アミノ酸製剤の局所應用について—臨床経驗について
著者: 高山坦三1 靑木高志1 新津谷哲1
所属機関: 1札幌医科大学外科教室
ページ範囲:P.121 - P.124
文献購入ページに移動新藥の続出は近来ことにいちゞるしく,しかも輝かしい各種抗生物質の成果やスルファミン剤の医療効果は,化学療法への信頼を一気に高めたかの感がある.かつてはサルバルサンをのぞいては化学療法に対しては,おおむね悲観的とまでゆかなくとも,一般に懷疑的であつたが,その観念がまつたく一変したかの観がある.ことに結核症に対する化学療法は,多くの学者の執拗,強靱な挑戰にもかゝわらず,強固な城壘のなかに閉ぢこめられたまゝであつたが,この一両年のあいだにその牙城の一角に崩壞の兆しがあらわれてきて,われわれ医師をして期待の喜びを感じさせている.
ひるがえつて考えてみるに,結核の治療剤の嚆矢は,1890年ベルリンで開催された第10回万國医学大会において,コッホによつて発表されたツベルクリンである.
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