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綜説
腹壁冷膿瘍—殊にその発生機序について
著者: 岩井芳次郞1 山下九三夫1 木村信良1
所属機関: 1國立東京第一病院外科
ページ範囲:P.133 - P.136
文献購入ページに移動筋肉結核の発生機序は古くから興味がもたれ,隣接器官の結核から二次的に生ずるとなすもの(Virchow,Zen—ker,Ostendorf)と結核巣から血行性にいわゆる原発性筋肉結核を発生するとみなすもの(Habermaas u. Mü—ller, Lanz u. de Quervain)との2説があつたが大井1)はClairmont,Winterstin u. Dimtza2)氏等が68歳男子の右前膊屈側及び右大腿伸側の結核性筋肉膿瘍の患者で,自家膿汁療法の目的のため,右大腿膿瘍から得た膿汁5ccを左大腿伸側に注射した結果発生した結核菌の直接接種による眞性原発性筋肉の1例を報告した事にかんがみ,筋肉結核を表1の樣に,原発性,轉移性,波及性と分類する事を提唱した.
腹壁筋肉結核に関しては,最近解剖学的見地から淋巴行性発生が注目されるようになり,特に腹壁淋巴節が重要な役割をなすものと見られるように到つた3)4).然しながらその考察に於ても,病理組織学的檢索が未だ充分とはいえない.
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