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文献詳細

雑誌文献

臨床外科8巻7号

1953年07月発行

文献概要

綜説

脳,脊髄障碍時における2,3発汗異常に就て

著者: 天瀨文藏1

所属機関: 1天瀬外科醫院

ページ範囲:P.341 - P.343

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 種々な脳,脊髄疾患或は末梢神経損傷の場合に異常発汗をみる事のあるのは既に注目されている所であるが,臨床方面で殊にその診断的意義に触れているものは余り見当らないようである.又一方,汗腺の神経支配に関しては交感,副交感神経二重支配説が現在有力なものと解せられ,又その中枢は間脳殊に視床下部にあり,又それ以下の経路は不明の点が多いが,側索内を下降するものと言われている.即ち発汗に関する交感神経脊髄中枢は,頭部,頸部,上胸部の夫れは第8頸髄〜第6胸髄,上肢は第5〜7胸髄,躯幹は第7〜9胸髄,下肢は下位胸髄及び上位腰髄の夫々の側角或は之れに相当する部位に存するものであろうと言われ,此処から前角に入り前根を通じて交感神経節状索を上行或は下行して末梢神経に入る交感神経と,その脊髄中枢は未だなお闡明されていないが後根を出て交感神経節状索を経由せず直接末梢神経に入る副交感神経との二重支配説が有力視されている.而も此の場合温熱性発汗に関する限り,交感神経節状索を経由しない副交感神経は之れに関與しないとも言われている.然しながら自律神経は大脳よりの影響も大いに関與している関係上,発汗機轉に関してもなお複雜なものがあると言わねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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