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綜説
小児のNo Rebreathing型吸入麻醉
著者: 山本眞1
所属機関: 1九州大学整形外科教室
ページ範囲:P.873 - P.881
文献購入ページに移動まえがき
外科的治療の発達は小児にも手術的侵襲を加える機会を増加せしめているが,小児に全身吸入麻酔を施行する事に対しては尚お不安を抱く人が多い.その不安の原因は別として小児手術にとつての全身吸入麻酔の必要性について少しく考えてみると,小児に観血的治療が施行される場合,疼痛に対する感受性のごく未発達の時期は別としても小児は一般に恐怖心,依頼心強く,抑制力が弱く,且つ自律神経機能の不安定なものが多く,通常採用される浸潤麻酔,伝達麻酔,脊髄麻酔では手術の真の意味の完成を期し難い事が多い.こゝに小児の全身麻酔の必要性が見出される.図1は九大整形外科教室における最近3年間の各麻酔法の使用頻度である.
全身麻酔の方法としての静脈麻酔,注腸麻酔,筋注麻酔,骨髄内注入麻酔等は麻酔上最も確実であるべき薬剤量の調節という点が不確実であり,従つて麻酔が過深となつた場合の処置に困る訳である,それ故に小児の安全で完全な麻酔法としては吸入麻酔が採用されるべきであると考えられる.小児の吸入麻酔法には開放点滴法によるものが最も多い.開放点滴法は簡便で種々の小児に適した利点を有するがその呼吸,循環,薬剤量,麻酔深度等の管理という様な機能性が小さい.成人にとつて甚だ有用な閉鎖循環式又は往復式麻酔器は回路の抵抗も大きく小児にとつて不適な点が多く,気管内挿管も施行後の浮腫等安全性の上から考慮すべき点が少くない.
外科的治療の発達は小児にも手術的侵襲を加える機会を増加せしめているが,小児に全身吸入麻酔を施行する事に対しては尚お不安を抱く人が多い.その不安の原因は別として小児手術にとつての全身吸入麻酔の必要性について少しく考えてみると,小児に観血的治療が施行される場合,疼痛に対する感受性のごく未発達の時期は別としても小児は一般に恐怖心,依頼心強く,抑制力が弱く,且つ自律神経機能の不安定なものが多く,通常採用される浸潤麻酔,伝達麻酔,脊髄麻酔では手術の真の意味の完成を期し難い事が多い.こゝに小児の全身麻酔の必要性が見出される.図1は九大整形外科教室における最近3年間の各麻酔法の使用頻度である.
全身麻酔の方法としての静脈麻酔,注腸麻酔,筋注麻酔,骨髄内注入麻酔等は麻酔上最も確実であるべき薬剤量の調節という点が不確実であり,従つて麻酔が過深となつた場合の処置に困る訳である,それ故に小児の安全で完全な麻酔法としては吸入麻酔が採用されるべきであると考えられる.小児の吸入麻酔法には開放点滴法によるものが最も多い.開放点滴法は簡便で種々の小児に適した利点を有するがその呼吸,循環,薬剤量,麻酔深度等の管理という様な機能性が小さい.成人にとつて甚だ有用な閉鎖循環式又は往復式麻酔器は回路の抵抗も大きく小児にとつて不適な点が多く,気管内挿管も施行後の浮腫等安全性の上から考慮すべき点が少くない.
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