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文献詳細

雑誌文献

臨床外科9巻5号

1954年05月発行

文献概要

症例

サリタール(アミパン・ソーダ)直腸麻醉法の経驗—(特に小兒の基礎麻醉として)

著者: 九里愼之輔1

所属機関: 1東京逓信病院外科

ページ範囲:P.340 - P.343

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 最近の麻醉学の進歩に伴い,靜脈麻醉法は旧来の單独使用とは別途に基礎誘導麻醉として新たな脚光を浴るにいたり,優秀靜脈麻醉剤が次々と創製紹介されつゝある.こうした麻醉学全般の趨勢より靜脈麻醉剤としての優秀性を決定するものはいきおい作用時間の短い,蓄積作用の少い.麻醉発現の迅速なものであつて,現今米國に於て最も流行を極めているペントタール〔Sodium 5—ethyl—5—(1—methyl butyl) thiobarbiturate〕や,See—vers, Kelly, Wyngaarden, Woods, Burstein等により紹介され,今回山井内製藥により試作されたサリタール(アミパン・ソーダ)〔Sodium−5—allyl—5—(1—methyl butyl) thiobarbiturate〕などは何れもこの性質を具有しているものである.
 さて,上述の麻醉学の進歩により患者は殆んど手術にあたつて何等の苦痛,不安等を経驗しない迄にいたつたが,小兒の麻醉に於てはその生理的機構の特殊性のため積極的な麻醉法が時に微弱な抵抗力を障碍し,身体機能を攪乱する処があり,依然として姑息的な麻醉法が行われ,ために"Anes—thesia without tears"(Evans)なる理想が顧みられぬ現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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