臨床外科9巻7号

1954年07月発行

症例

胃ノイリノームの1症例

著者： 宇野顯¹ 佐藤勝夫²

所属機関： ¹国立宮城療養所外科 ²福島県磐城共立病院内科

ページ範囲：P.460 - P.461

文献概要

症例
　48歳の生来健康な主婦，既往症には特に変つたことはない．約10年前から食事と無関係に心窩部重圧感を訴え，某医から異常なしといわれたので放置していた．約2年前から上腹部に小指頭大，可動性の腫瘤があるのに気付き，某医より網膜腫瘤との診断を受けた．来院2カ月前から腫瘤は増大し，鳩卵大となつたが格別の自覚症状はなかつた．
　診査所見：　体格中等度，栄養可良，糞便潜血反応中等度陽性，蛔虫卵（＋），鉤虫卵（＋），尿所見異常なし．赤血球344万，血色素64％（Sahli氏法），白血球5,000血沈1時間値8mm，胃液低酸性，肝機能ほゞ正常．