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側迷入甲状腺腫の文献的考察(自家経驗1例を加う)
著者: 矢野周1 奥出保1
所属機関: 1北海道大学医学部第2外科
ページ範囲:P.507 - P.510
文献購入ページに移動 側迷入甲状腺腫とは,所謂副甲状腺腫(Neben—kropf)の1分類名である.副甲状腺腫とはSch—ragerに依れば正常又は病理的な甲状腺の構造を有する組織塊が正規甲状腺より一定の間隔を保ち且つ之と何等の連絡なしに諸臓器組織間に占有するものゝ謂いである.而も甲状腺固有の内分泌機能が,之の迷入甲状腺のみに営まれ,正常の位置に正規の甲状腺を欠如することがあることより,早くから一部学者の間に,之の副なる形容を妥当ならずとして,迷入甲状腺(aberrant thyroid)の語が用いられている.
後述の如く解剖学的又は病理解剖学的に発見される迷入甲状腺の数は決してすくなくない.しかしながら生体に於て迷入甲状腺が注目されるのは,それが病的の発育により一定の大いさに達して自覚的に又他覚的に識別可能となつた場合である.かような例の代表的なものが,所謂迷入甲状腺腫であるが,之の臨床上の頻度は決して多くない.最近我々は教室に於て之の1例を経験したので之を報告し且つ些かの考察を加えてみたいと思う.
後述の如く解剖学的又は病理解剖学的に発見される迷入甲状腺の数は決してすくなくない.しかしながら生体に於て迷入甲状腺が注目されるのは,それが病的の発育により一定の大いさに達して自覚的に又他覚的に識別可能となつた場合である.かような例の代表的なものが,所謂迷入甲状腺腫であるが,之の臨床上の頻度は決して多くない.最近我々は教室に於て之の1例を経験したので之を報告し且つ些かの考察を加えてみたいと思う.
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