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文献詳細

雑誌文献

臨床外科9巻9号

1954年09月発行

特集 慢性胃炎と胃潰瘍

慢性胃炎の外科的治療

著者: 浜口栄祐1 長洲光太郞1

所属機関: 1国立東京第一病院外科

ページ範囲:P.573 - P.579

文献概要

 激しい胃痛,嘔気,食思不振,体重減少等の為に日常生活に耐えない様な症例で,胃十二指腸潰瘍とか,胆嚢症とかの疑診の下に開腹して,予期した病変がなく,所謂慢性胃炎に属するものがある事は周知の通りであるが,我々はこの様な症例が外科的治療の対象としてどんな位置にあるだろうか,という点に興味をもつて,数年来注目して来た.後に述べる如く慢性胃炎は従来内科的治療の対象であつて,之に胃切除を加えるのは誤であるという様な意見が多い.胃炎の有力な提唱者たるKonjetzny1)自身も,胃炎そのものは切除すべきでないとの意見である.しからば開腹して潰瘍等の予期した病変がない場合に,外科医として之をどうとりあつかうべきかという事は問題であつて,従来の考え方からすれば,試験開腹に終るべきものであろう.
 最近慢性胃炎の問題がとりあげられて来たが,それは主に,前癌状態としての慢性胃炎という問題に論議が集中している様であるが,この点については,まだ充分な証明に乏しいので,この観点から本症を外科的にとりあつかおうとする意見は,未だ広く認められるに至つていないし,今後なお多くの研究が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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