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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科1巻2号

1947年04月発行

雑誌目次

月經周期に關する再檢討・2

第2講 排卵期の判定法(附)算定の基準

著者: 安藤畫一

ページ範囲:P.89 - P.99

序論
1.排卵期判定の意義
 元來排卵期の判定は,月經と排卵との時期的關係を知ると云ふ科學的興味から企てられたのであるが,荻野及びKnausにより月經周期中に受胎期と不妊期とが區別せられた今日では,受胎現象を對象とする實際問題に重要の關係を有するに至つたのである。

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肺結核妊婦に對する肺虚脱療法—特に横隔膜神經麻痺術

著者: 藤森速水

ページ範囲:P.100 - P.108

緒言
 この一篇の内容は昭和18年3月京都に開催された第41囘日本婦人科學會總會に於いて余が擔當した「産科學上より觀たる肺結核」と云ふ題下の宿題報告の一部であつて實は右宿題の内容は總會當日來聽された諸賢に別刷として配布したのであるが,宿題擔當の責任者として余はその後,一般醫學雜誌にもその内容を發表して識者の御批判,御追試を仰ぐ心組みであつた。所が太平洋戰爭醋なるに及んで出版界の機能不全は愈々深刻となり,遂に余の希望は滿されず今日迄遷延した次第である。然るに今囘,本誌の新發足に際し,安藤主幹より投稿の機會を與へられた故,茲に余の宿題報告の内容の一部を敷衍して報告し,識者諸賢の御教示を仰ぎ度いと思ふ次第である。
 肺結核妊婦治療上の困難性には色々あるが,尠くとも2つの重要な點を看過してはならない。その1は人工妊娠中絶適應の決定であり,他の1は妊婦肺結核症の治療である。前者の問題に就ては既に19世紀頃から種々の見解が發表されMalagliano,Pradella,Schauta等の絶對的中絶論とBorden,Eullen,Joseph,Frank,Portal,Baumes,Co—uvelaire,Cleiz,Jenning,Norwood,Runge,Lohlein等の中絶否定論即ち保存療法主義,そして兩者の折衷説即ち條件付(相對的)中絶等が發表され今日尚論爭の熄まない状態である。

産褥子宮復故の臨牀的觀察

著者: 市瀨忠夫

ページ範囲:P.109 - P.135

緒言
 産褥の終了は專ら褥婦の身體に起る復故現象,殊に妊娠分娩により最も著しく變化せる子宮の復故完結を以つて標準となす。されば産褥子宮の復故状況を觀察追求するは臨牀上に重大なる意義を有す。外國にありては既に前世紀末までに詳細なる研究が續出して,子宮復故を示す決定的計測値の樹立せる觀を呈す。然るに本邦に於てはこの方面の業績は極めて少く,諸大家の著書を通覽するに殆んど總てが外國の業績を引用轉載するに止まり,本邦婦人を材料とせる研究は僅かに橋爪(哲)平山の2氏を出でず。茲に余は淺學菲才も顧みず本邦婦人を材料とせる子宮復故觀察の標準計測値の確立を企圖し,併せて産褥初期に見らるゝ未解決なる2-3問題に就き,從來と些か異れる觀點より研究調査を行ひ,幸ひ興味ある結果を得たり。

慶大産婦人科教室及び東京都立三産院(下谷・淺草・中野)における秦博士記念事業「妊婦梅毒調査」報告(第一回)

著者: 中鳥精 ,   澤井正太郞

ページ範囲:P.137 - P.148

緒言
 余らは故秦佐八郎博士記念事業會の依囑により,慶大産婦人科外來,東京都立下谷,深川及び中野三産院における昭和17年5月より昭和18年10月末までの妊婦について梅毒反應を檢しかつその陽性者には可及的治療をおこなつたのでここにその成績を報告するしだいである。

分娩介助法としての膣會陰切開

著者: 松本寬

ページ範囲:P.148 - P.152

 縮言 人類の分娩を他の動物のそれと比較すると一般に非常に重いのであるが,これは一つは,人類が直立位をとるに至つたためと一つは胎兒の頭部が比較的大きくなつた結果である。即ち身體をさゝへる關係上頑丈になつた骨盤を比較的大きい兒頭は廻施運動を行ひつゝ通過してやつと骨盤底に逹すると今度は強大なる腹壓に對抗して内臟の下垂脱出をふせぐ關係上強化された骨盤底筋肉が行手をはゞんでゐるのである。この強大な抵抗をやつとおしきつて胎兒は娩出せられるのであるから,母兒ともにすでに生理的に非常な分娩損傷をうけるのは自明の理である。すなはち生理的とみなされる分娩損傷としては母體側には骨盤應形機能,子宮口の開大,腟及び會陰の伸展,兒體側には,兒頭應形機能,骨重積,産瘤,頭血腫,結膜下出血等があり分娩する苦痛も娩出せられる苦痛もともにいかに大であるか想像に絶するものがある。
 以上あげた分娩損傷はまつたく生理的範疇に屬するものだが,病理的範疇にはいる分娩損傷としては,母體側には,恥骨結合破裂,頸管裂傷,腟會陰裂傷,兒體側には頭蓋内出血,假死等がある。

輓近米國において提唱せらるゝレントゲン骨盤撮影による女性骨盤の新分類法

著者: 野島美喜造

ページ範囲:P.153 - P.159

 緒言     從來わが産婦人科學界では獨逸の業績をのみ問題とし追從することが多く,米國のそれはホルモンの問題で論ぜられた程度で他はほとんど疎略にされてゐたのが一般の趨勢である。かゝる傾向となつたのは種々な原因もあらうが,明治以後わが國に西洋とくに獨逸醫學を輸入せしめて以來の歴史的傳統に制約せられたことも大なる原因の一つであらう。われわれは科學的客觀的研究態度にはなんら變化はないが,從來の傳統的諸制約を廢棄してさらに自由な立場から米國の産婦人科學をみることは現在必要なりと考へる。
 米國産科學界で1930年代よりH. Thoms,W. E. Caldwell, H. C. Moloy及びD'Esopo等により發表せられた骨盤の諸研究なかんずくその分類法は,從來の主として獨逸學派によるそれに比較していちゞるしく異色ある分類法である。この新分類法は獨逸ではほとんど言及されておらず,またわが産科學界にもほとんど紹介せられてゐない。こゝに私は淺學菲才をもかへりみずあへてこの新分類法紹介の一文を草するゆゑんである。

生物統計學の手引き(2)

著者: 上田喜一

ページ範囲:P.159 - P.163

第3章 相關2つの集團の關係
 我々が觀察する材料の中には2種の量の相互關係が專ら問題となる場合が少くない。例へば第1囘の出産兒と第2囘出産兒の身長の關係と云ふ樣に同一種類の量を比較する場合もあるし,身長と體重と云ふ量の單位の異る場合,まるで聯絡の遠い集團としては低氣壓と腦溢血,潮の干滿と出産時間と云ふ問題もあらう。此の問題を統計的にどう處理するかを述べよう。

醫局近況

著者: 河崎

ページ範囲:P.164 - P.164

岡山醫科大學産婦人科
 「戰爭へ!!戰爭へ!!」と到底常識では捕捉され得ない樣な錯覺と幻影とに一切を捧げて,此の國の幾少多の若者達が征つて経つた樣に,中村助教授以下壯有爲の人材は次々と召きれ,そして惡疫瘴癘の異境に倒れ,南海の島影に花と散つて行つた者7名。あの想ひ起すさえ鳥肌立つ樣な6月29日深夜の空襲に,あたら若い生命を紅焔の中に捧げて歸らざる者1名。大きな犧牲であつた。
 日毎に激化する空襲。治療上研究上は基よりの事日常生活の凡ゆる面にまで刻々増強される有形無形の障碍と隘路とに,ともすれば絶望感に沈まんとする僅か2名の醫局員を,「最後は教室と運命を共にすると」云つて勵まし,慰め,然も開戰以來附屬醫院長として,多事多雜の重責を全うし,尚且泰然として眞摯な研究は倦む事を知られぬ八木教授の言語に絶する努力と,明敏なる頭腦とに依つて,遂に無事教室の機能を守り終ほせて此處に丸一年。幾多の犠牲の上に樹てられた貴重な,晴々とした平和恢復に伴つて,まるで古巣に歸る小鳥共の樣に,南から北から,そして大陸から教授の膝下に集ふ者は今や30名に垂んなんとし,今更醫局の狹隘を喞つ仕末。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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