icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科1巻2号

1947年04月発行

--------------------

分娩介助法としての膣會陰切開

著者: 松本寬1

所属機関: 1慶應義塾大學産婦人科教室

ページ範囲:P.148 - P.152

文献概要

 縮言 人類の分娩を他の動物のそれと比較すると一般に非常に重いのであるが,これは一つは,人類が直立位をとるに至つたためと一つは胎兒の頭部が比較的大きくなつた結果である。即ち身體をさゝへる關係上頑丈になつた骨盤を比較的大きい兒頭は廻施運動を行ひつゝ通過してやつと骨盤底に逹すると今度は強大なる腹壓に對抗して内臟の下垂脱出をふせぐ關係上強化された骨盤底筋肉が行手をはゞんでゐるのである。この強大な抵抗をやつとおしきつて胎兒は娩出せられるのであるから,母兒ともにすでに生理的に非常な分娩損傷をうけるのは自明の理である。すなはち生理的とみなされる分娩損傷としては母體側には骨盤應形機能,子宮口の開大,腟及び會陰の伸展,兒體側には,兒頭應形機能,骨重積,産瘤,頭血腫,結膜下出血等があり分娩する苦痛も娩出せられる苦痛もともにいかに大であるか想像に絶するものがある。
 以上あげた分娩損傷はまつたく生理的範疇に屬するものだが,病理的範疇にはいる分娩損傷としては,母體側には,恥骨結合破裂,頸管裂傷,腟會陰裂傷,兒體側には頭蓋内出血,假死等がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら