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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻1号

1956年01月発行

雑誌目次

特集 卵巣機能障害

卵巣機能障碍の診断

著者: 古賀康八郎

ページ範囲:P.3 - P.7

はしがき
 成熟婦人の卵巣は卵胞の発育,成熟,排卵および黄体形成,成熟,退行の周期的変化をほゞ一定の期間に反復し,それに伴つてestrogenおよびprogesteroneを分泌して,性器の発育と,性器および全身に一定の周期的変化を起させる作用がある。従つて,卵巣機能障碍は,これ等ホルモンの定量,性器および全身に現われる生理的変化の異常診査によつて診断される。
 しかし卵巣機能は大脳皮質,間脳,下垂体のみでなく,甲状腺,副腎その他内分泌腺機能との相互関係の失調によるほか,新陳代謝異常,栄養失調,各種疾患によつても容易に障碍されるから,出来るだけその原因を明らかにすることが重要である。

弱力発情物質による更年期障害の治療

著者: 植田安雄 ,   林要 ,   林弘平

ページ範囲:P.9 - P.13

はしがき
 更年期障害は卵巣の年齢的変化によつて起る卵巣機能の衰退を基盤とした一連の自律神経症候群であるが,その発症の機序に就いては現在,尚,必ずしも意見の一致をみていない。
 而し乍ら,本症に対するEstrogen療法は古くから賞用されて居り近時その適否について論議されてはいるけれども,今日尚実地医家の間に慣用されている。此Estrogen療法は体内Estrogenlevelの減少に依つて起つたGonadotropinの過剰産生が本症の発症機転であるとするAlbright1)Engelhart2)等の所説に基づきEstrogen投与によつて下垂体のGonadotropin産生を抑制して治効を收めようとするものである。此際,投与est—rogenが同時に性器へも作用する。本症に対するEstrogenの使用に関する限り此の性器作用は副作用として考えるべきである。即ち,従来の強力なEstrogenの子宮内膜への発育因子は癌原性の如き重大なる影響は暫く措くとしても,消去出血を惹起する可能性が残る。事実,Birnberg3)はEthinly-estradiolを本症に用い20%の消去出血を,又比較的消去出血作用の少いDienstrol,Meprane等の人工発情物質を用いた諸家の報告4)5)6)に依つても2.7%〜11.0%に消去出血と言う不快な事象を発生している。

子宮剔除の遺残卵巣に及ぼす影響に就て

著者: 堀口正晴

ページ範囲:P.15 - P.20

はしがき
 女性性機能の主役は卵巣に始まり,次いで脳下垂体,間脳と次第に上位に移行し,骨盤の中央部を占め両側に卵巣を従えている肝腎の子宮は常に上記諸器官の支配下に甘んじている観がある。
 果たして子宮は積極的な意味に於て内分泌学的に何等の価値をも有しないものであろうか。卵巣は子宮に作用しても,子宮は卵集に対し内分泌学的に影響することはあり得ないのか,換言すれば所謂子宮ホルモンは存在しないのであろうか。

基礎体温曲線からみた肺結核症婦人の卵巣機能に就て

著者: 星野一正 ,   橋口精範

ページ範囲:P.21 - P.29

1.はしがき
 結核症の研究は今日までその主力が疾病の形態学的検索,細菌学的,免疫学的研究に置かれて居り,内分泌学的或は生化学的研究は重んぜられて居なかつた為,肺結核症と婦人内分泌機能との関係は殆んど解明されて居ないと申しても過言ではない。
 結核症の体質学的な研究,抵抗力の問題,全身病としての結核症の生体変調の問題学からして当然,間脳下垂体系,副腎を始めとする各種内分泌機能との関連性を無視し得ず,又思春期結核という概念だけからしても,結核症に於ける内分泌学的研究の重要なことは明らかであろう。

人工気腹療法の月経周期に及ぼす影響に就て

著者: 石原正俊 ,   高瀬朝雄

ページ範囲:P.31 - P.32

I.緒 言
 1931年アメリカのBanyaiが最初に人工気腹術を行い,肺結核に対しても有効であると発表されてからアメリカに於いては既に一般的普及をみている事は周知のことで,我が国に於いても20数年前実施されたが,顧みられるところなく僅に岩崎氏が横隔膜神経麻痺術との併用16例に試みた報告をみるに過ぎなかつた。
 終戦後人工気腹療注が肺結核の治療法として優秀な成績を挙げているアメリカの文献に接し,再び我が国で追試され始めその臨床成績,副作用等諸家の報告をみるが,月経に対する影響は促進するとの一部報告があるにすぎない。我々はこの月経を中心として人工気腹術が月経周期に如何に影響するかを調査したので簡単に報告する。

原著

産婦人科領域の腟カンヂダに関する研究(後編)

著者: 田谷実

ページ範囲:P.33 - P.41

 前編に於いて,腟カンヂダの分離成績及び各種藥剤に対する感受性につき硝子内実験を行い,その結果を報告した。以下後編としてカンヂダと臨床症状及び抗生物質との関係,並びにカンヂダ性腟炎の治療実験につき報告する。

分娩第1期に使用する鎭痛剤の研究

著者: 久保内美知子

ページ範囲:P.43 - P.50

緒言
 分娩時麻酔法は約百年前の1847年に英・J.YSimpsonによつて創始された。当時の方法はエーテル乃至はクロロホルムによる吸入麻酔法のみで,その使用も児の娩出時にのみ用いられたに過ぎなかつた。
 ところが分娩時麻酔法の完遂は分娩当初からの鎮痛が必要である。これには約50年前の1906年に,独・フライブルヒのGausにより始められた,モルフィン・スコポラミン皮注迷朦法があるが,欠点として児の呼吸抑制が強いため22),今では用いる者はない。

子宮腟部組織の螢光顕微鏡所見について

著者: 熊谷博

ページ範囲:P.51 - P.54

Ⅰ はしがき
 螢光顕微鏡装置は1904年Kohlerにより創製され,1913年に至つてLehmannによつて一応完成されたが,その研究材料は一定の範囲に限定されていた。しかし1934年Haitingerの螢光色素法の発明あるいは装置の改良等によつて次第に利用の途が開かれ,現在では広く微生物学,免疫学病理組織学,その他細胞学,寄生虫学方面にも応用されてきている。
 一方産婦人科領域に関係ある報告はま、ず少なく,女性性器の螢光についてのH.Hamperlの簡単な報告,庭山の魚類以上哺乳類にわたる卵巣についての報告についで,樋口の人卵巣の螢光現象の利用による卵巣充実性腫瘍の分類,H.P.Friedmanり腟内容物の螢光現象による子宮癌の早期診断法,その他人胎盤についての森,嶋田の報告,子宮内膜についての大野の報告があるくらいである。

新分娩予定日算出法の分娩日適中率の調査(Ⅱ)—(附)本法に依る場合の妊娠子宮腔長,並びに胎児身長の統計的観察

著者: 野平知雄

ページ範囲:P.54 - P.63

第5章 統計的観察
 秦氏法が理論上正しいものであると同時に実際に於て正確さが期待出来るか否かを統計学的に観察し,併せて従来のNaegele氏法との比較検討を試みた。

産婦人科領域に於けるトリクロール・エチレンに依る吸入麻醉—(トライレン及びその邦製品トライコール使用経験)

著者: 松井輝雄 ,   星野一正 ,   壽田鳳輔 ,   片山初雄

ページ範囲:P.65 - P.75

はしがき
 Trichlorethylene麻酔が一般に行われる様になつたのは,第2次大戦に際し火災発生の危険下での手術に,Chloroform以外の非爆発性の安全な麻酔藥を発見すべく研究した英人Hewer等が1942年にその成果を発表して以来の事であり,英国では通常笑気ガス麻酔と混合し,或いは笑気麻酔器が使えない場合の単独麻酔藥として軽度の麻酔を得る目的で使用され,又意識喪失を伴わずに全身に無痛状態をもたらす特徴を利用して無痛分娩法として広く用いられている(Hewer 1950)6)。他の欧米諸国でも全身麻酔法として種々の分野に応用されている様であるが,我が国の文献にTri—chlorethyleneの使用が報告される様になつたのは昭和28年以降の事で,産婦人科領域に於いては次の諸報告を見る。

海外文献抄録

簡単なギネコグラフイー,他

著者: ,  

ページ範囲:P.77 - P.79

 ギネコグラフイーは,Steinにより考案された方法で我々はこれを一般的に行える様に改良した方法を考案した。原理は腹膜腔に空気を入れ,一方に於て,子宮卵管造影法を行つて撮影する方法であるが,Steinの原法によれば,Siskの台を必要としたが,これは,普通の病院に備えつける事は経済的に無理であるので,我々は,通常のX線撮影台を利用する方法を採用している。
 手技は,当日朝浣腸で腸管を空にし,術前30分に卵管の痙れんを防ぎ,又気腹による腹膜の伸展の不快感を除くために,Demerol 50mgを与える。次に気腹であるが我々は経卵管的にではなく,経腹壁的に注入する方法を採用している。(約1000cc注入するが,40mmgHg以上の圧を加えてはならぬ)次に子宮卵管造影術を行うのであるが,造影剤は,4 cc位注入する。体位は上半身を15°位下げた体位をとり臀部に,4インチ位の厚さの枕をおく。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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69巻7号(2015年7月発行)

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69巻6号(2015年6月発行)

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69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

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