icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻11号

1956年11月発行

文献概要

速報

産婦人科領域の便秘に対するDioctyl Sodium Sulfosuccionateの効果

著者: 山野井達也1 高田道夫1

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.779 - P.783

文献購入ページに移動
 日常産婦人科の診療において婦人科的主訴と共に,便秘を訴える患者に遭遇することが少なくない。しかもこの便秘を治療することにより婦人科的疾患によると思われた症状が案外簡単に緩解することもあるし,また便秘に由来する症状が消失したため他の症状がはつきりと現われることもある。
 一般に女性は男性に比して便秘の傾向が強いが,岩鶴(1954)は2倍に及ぶといつている。通常便秘患者に認められる食思不振,全身倦怠,睡眠不足,腹痛,肩凝り等の症状は排便機転の失調に原因するものであつて,規則正しい排便が保康上如何に重要なことであるかは論を挨たない。便秘が独立の疾患として学問上の対象となつたのは19世紀の始めからであつて,それ以来行われている食餌療法,薬物療法,物理学的療法等多種多様の療法は枚挙にいとまがない。幾多の下剤が日常使用されてはいるが,常習便秘に対しては単に一時的苦痛を除去するに過ぎない。常習便秘の治療法としては出来得る限り下剤を使わないで自然の排便を促すべきで,止むを得ず使用する場合にも,少量つつ短期間用い,また時々薬剤の種類を変換すべきである。また妊婦に使用する場合には薬剤の種類並びに量に関し充分な考慮を払い,流早産の誘発を避けなければならないことは当然である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?