icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻13号

1956年12月発行

文献概要

特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患

心電図の解説

著者: 樫田良精1 加藤和三1

所属機関: 1東京大学美甘内科

ページ範囲:P.875 - P.886

文献購入ページに移動
1.まえがき
 今日心電図は臨床上不可欠な検査法の1つである。従来心電図はその撮影並びに判読の上に稍煩雑な嫌いがあり,とかく取りつきにくい,難解なものと考えられて来た。然るに最近交流電源式,直記式心電計の発達により,その取扱いが極めて簡便になると共に,心電図に関する知識も広く普及し,広く用いられるようになつたことは喜ばしいことである。産科,婦人科領域に於いても手術,分娩等に関連して,心電図その他の心臓血管機能検査を要することが多く,我々もしばしばその検査を依頼される。心電図は心機能検査の1つであつて,これのみですべてを判断することは勿論不可能であり,理学的所見,X線像,血圧その他の検査所見,既往歴等を併せ考えてこそ,心臓の状態を知り得るものであることを忘れてはならない。往々心電図のみにて事足れりとする傾きがないとはいえないことは注意すべきであろう。何れにしても複雑な心電図理論はさておき,心電図の基本的な実際を知ることは今日の産婦人科医にとつて望ましいことは明らかである。そこで以下本稿では心電図判読に必要な知識の概略を述べる。但し尨大な心電図学の大要を限られた僅かな紙数に述べることはもとより困難で,記述も不充分であるが,判り難い所は成書を参照していただくこととして御寛恕を乞いたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?