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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻13号

1956年12月発行

特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患

新生児の心電図について

著者: 小川玄一1 小國親久1

所属機関: 1北海道大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.887 - P.892

文献概要

まえがき
 最近の医学の進歩にともない胎児新生児の生理病理に関する多くの疑義は,漸次明確化されてきているように思われる。しかしながら,まだその全貌を掴みうる時期にはいたらず,近時本邦乳幼児の死亡率が減少し,人工妊娠中絶以外の死産も少なくなつたとはいいながら,わが国における年齢別の死亡率をみれば,0〜1歳において圧倒的に多い現況である。しかも,さらにこの時期を細別すると生後10日前後までに死亡する児が最も多いことは,諸家の報告のごとくである。
 さて,ここでわれわれ産科医がいわゆる新生児として親しく接するものは,分娩直後から2週間前後のものが最も多く,この時期は胎内生活から胎外生活に対応すべく器質的にも,機能的にも種々の面で著明な変化を示す非常に不安定な移行期に当つている訳である。換言すれば,生後10日頃までには分娩によつて受ける児の直後変化も大体終了し,ヒトとしての本然の姿をもつて医学的にも人生への第1歩をふみだすというような重要な時期である筈である。しかしながら,従来本邦においては,この時期が産科と小児科との境界領域ともなるため,とかく等閑に附され勝ちであつたことは,われわれ産科医としても,今後充分考慮しなければならなかろうと痛感するものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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