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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻13号

1956年12月発行

特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患

手術前の循環器機能の検査と処置

著者: 藤本淳1

所属機関: 1阪大第一外科

ページ範囲:P.901 - P.908

文献概要

 医師が手術を行う目的は生体の異常状態を除去するにあることは云う迄もないが,たとえ手術の目的を達したとしても健康を障碍したり,又は生命を危くしたり,或いは予後の安全のみを考えてその目的を達しないことも医師として反省を要することである。従つて手術の目標は手術目的の完遂と予後の安全の点におかなければならない。こゝに於いて適応という問題が起つてくるのである。
 手術適応については病的状態の判定,手術の技術的問題,及び予後に関して考慮を払う必要がある。病的状態の判定とは疾病が是非とも手術を必要とするか,又は手術を最良の治療法とする症例であることを決定することである。手術の技術的問題については術者の技能及び手術操作可能か否か,即ち悪性腫瘍に於けるoperableかinoperableかという如き問題である。最後の予後に関することであるが,現在は主として経験上より結果のみが成書に述べられている。勿論神ならぬ身の医師が患者の状態のすべてを明白にし得ないとしても,予後を考察するには十分の検査と正しい判断の下に行わねばならぬ。徒らに患者の状態を危惧するの余り,手術適応者に手術を行わぬ事があつたり,術中の変動に際して手術を中止することがあつてはならぬ。著者はこの問題について循環器系疾患を中心として述べる責を引受けたのであるが,浅学の身にこの目的を果し得るかを心配するところである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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