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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻13号

1956年12月発行

特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患

手術前の循環器機能検査

著者: 野嶽幸雄1

所属機関: 1慶応大学産科婦人科教室

ページ範囲:P.909 - P.915

文献概要

まえがき
 手術前後の的確・合理的な処置に欠ける点があつては手術の万全と成績の向上を期し得ないとはすべての手術に携わる医師の日常銘記する心得であり,如何に現在の如く,麻酔法・化学療法・輸液療法が発展したとはいえ,手術の準備として行おれる各種術前検査の実施を等閑視することは許されない。術中・術後の合併症として最も忌わしく警戒すべきは末梢循環障碍を主症状として発現し,今日では一般にショックなる概念の下に包括される一聯の症状である。これに対し従来より手術前の循環機能検査の意義が重視され,特に心臓を対象として,潜在性機能不全の発見に,また余力検査に各種の方法が応用実施されている。然し生体代謝,また防禦反応機構に関する知見の発展と,第二次世界大戦,朝鮮事変を契機とする欧米戦陣医学のショック研究と相俟ちショックに対する各般の全貌が漸次闡明されるに及び,術前検査に対する認識にも大きな推移が窺われるに至つた。従つて術前循環機能検査なる命題も今日に於いては,むしろショックを対象とする意味に於いて再検討されるのが至当であろう。従つて本稿ではショックの概念にも簡単にふれ,その臨床的示標,先駆する誘因・素地,検査法につき主として循環機能を対象とし臨床的見地から言及することとし,何等か,現在の進歩せるショック研究の理解の資として役立つことを希望した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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