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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻13号

1956年12月発行

特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患

新生児の心臓奇形

著者: 三谷茂1

所属機関: 1日本医科大学

ページ範囲:P.987 - P.997

文献概要

緒言
 新生児にも成人と同様に心臓の腫瘤があり,炎症性変化も見られる。しかしこれ等炎症は極めて稀れに先天梅毒や先天性結核に見られるものである。腫瘤は稀れに腺維腫があつたと云う報告があるが多くは心筋の性質上横紋筋腫である。しかしこれ等の異常とは別に必然の先天性奇形はかなり多いものである。勿論胎生の間に高度の発育障害のあつたときには胎芽の発育も障害されて流産に終る,即ち紙状胎児の如きは屡々心臓の欠損があると称せられているが,果して全くその原基も証明されないと云うことがあり得るかどうかと云うことになると難かしい問題で,もし欠損なら無形,無心体となり胎生5〜6週までに胎芽が吸収されるか,或いは無心体として発育すべきであると思う。胎児としての形態の存在する紙状胎児に於いては全欠損は老えられぬ。しかし紙状胎児に心臓の高度の奇形のあることは,うなずけることである。ところが軽度の心臓奇形,例えば室中隔膜様部欠損などは胎生の末期まで正常な発育を遂げて満期産になるのが普通である。これは胎生の間に於いては肺循環が全く必要なものでないからであつて,全循環さえ正常な発育を遂げているなら胎児の他の身体部分の発育は何等障害を蒙ることはないからである。この意味に於いて両側腎臓の欠損或は痕跡的に存在する腎臓を有する胎児に於ても同様で,生後4日間位生存し得る新生児もある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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