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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻13号

1956年12月発行

特集 産婦人科及びその境界領域の循環器系疾患

心臓脚気

著者: 阿部達夫1

所属機関: 1東邦大学

ページ範囲:P.1007 - P.1012

文献概要

1.緒言
 脚気はその病像の主要なものとして,感覚運動障碍,心・血管障碍及び浮腫があげられる。脚気はこの3つの症状を多少なりとも具備するのが普通であるが,その何れが主として前景に現われるかによつて,夫々萎縮型,衝心型,浮腫型に区別される。勿論毎常明瞭に区分しうるわけではない。心臓脚気とか胃脚気とかいう言葉は俗間ひろく使用されているが,正しい名称といえるかどうかは疑わしい。併しその言葉のもつ意味は,心臓脚気とは心悸亢進,動悸,息切れ等循環呼吸器系の訴えを主とするものをさし,或る場合には脚気衝心そのものを意味し,或る場合には衝心とはかなりの距離をもたせている場合もあろう。胃脚気とは脚気にさいして屡々みられる食思不振,胃部膨満感等の胃症状を特にさしていうものであろう。このように解すれば,これ等の俗称も強ちすてさるべきものでもあるまい。併し脚気が我国においては極めて普遍的な疾患であつた(私はことさらに過去形であらわす)だけに,現在でも尚脚気という診断が濫用される傾向もあり,心臓脚気,胃脚気等という診断も漫然とつけられている場合が少くない。
 私はこの論文の表題に心臓脚気という言葉を使用したが,循環器系を中心としてみた脚気というような意味に解して,話をすすめて行くこととする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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