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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻3号

1956年03月発行

文献概要

特集 子宮内膜症

子宮内膜症の病理

著者: 石川正臣1

所属機関: 1日本医大

ページ範囲:P.143 - P.147

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まえおき
 子宮内膜症は腺筋腫Adenomyomと混同されていた時代があつた。試みに昭和10年頃までに出版されたわが国の婦人科学教科書を開いてみると本症を子宮筋腫のところで記述しており,普通の筋腫と異つた組織像を持つもので,これを腺腫性筋腫とか腺性筋腫と呼んで良性腫瘍としたり,あるいは腺性筋層炎と呼んで炎症とみなしているものもある。しかし今日では本症は腫瘍,あるいは新生物というべきものではなく,一つの組織増殖とせられ,筋腫の一異型とはいえないのである。従来腺筋腫といわれたものの大多数は今日いうところの内膜症である。
 子宮内膜症の概念として一般に認められているのは,子宮内膜と同じ組織,あるいはこれによく似た組織が,生理的に存在する場所でないところに増殖し,そしてそのまわりに筋組織や結合織が増殖して硬い腫瘤のかたちを呈したり,黒褐色の液をいれた嚢胞を作つたりするものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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