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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻3号

1956年03月発行

原著

妊娠月令より見たる羊水諸性状の消長に関する研究—第1報 妊娠月令より見たる羊水の量,比重,pH値の消長に就て

著者: 新井賢治1

所属機関: 1東京医科歯科大学産婦人科教室,東京医科歯科大学生化学教室

ページ範囲:P.165 - P.170

文献概要

緒論
 羊水は一方に於て絶えず新生せられると共に他方に於ては母体に再吸收せられて体外に排泄せられるものであると信ぜられ,従つてこのものは母体,胎児の両者の間に行われている新陳代謝に何等かの重大なる寄与をなしているものと考えられているにも拘らず,この羊水が如何にして新生せられ,如何なる消長をなすかについては未だ確定されていない。この点に関して古来より種々なる検討がなされてきたが,なお羊水を母体血液の漏出液とする説を始めとして,その他に胎児尿説,羊膜上皮分泌説等の論争が続き,互に夫々実験の結果を示しつゝ主論の根拠として相譲らない状態にある。即ち胎児尿説についてはZangermeis-ter1),Portal2),小川3)等の説,例えば母親の内服した沃度加里,サルチル酸等の胎児尿及び羊水に対する移行証明,直接胎児に注入した色素の胎児尿並びに羊水に対する移行証明,Tausch4)の新産児尿の実験,小川のスギウロンを用いての胎児排尿機能の実験等がある。又母体血液漏出液説はSchaller5),Wolff6)等の説であつて,彼等は羊水に蛋白質其の他塩類の乏しいことを指摘し,Fehling7)は水分並びに完全に溶解せる分子は臍帯静脈と羊膜腔との間を容易に通過せることを証明し,又室谷8)は羊膜が高い透過性を有することより羊水の成因を血液に求めている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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