icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻3号

1956年03月発行

原著

腟トリコモーナスの培養と治療とに関する実験的研究(その1)

著者: 上野統一1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.170 - P.176

文献概要

緒言
 1836年にDonnéが病的帯下中に発見して以来腟トリコモーナスTrichomonas vaginalis (以下腟トと略)に関しては臨床的にも基礎的にも数多くの研究が行われている。今世紀の初めにHoe-hneが本原虫の病原性を指摘して以来,病原性の問題とそれに附随して本症の治療の問題が臨床家の論議の焦点であつた。また実験的にこれ等の問題を解決しようとする試みから,この原虫を培養することが強く要望され多数の試みが行われて来た。本原虫を最初に培養した記録は1915年のLy-nchによるものであろうが,それは未だ至つて幼稚な技術によるもので,厳密には培養とは言い得ぬものであると思える。後にLynch (1922)は人血清1部と食塩水10部との簡単な組成の培地を用いて本原虫と口腔寄生のT.tenaxと腸管寄生のT.hominisとの3種の培養による種の鑑別を実験している。これが正確には本原虫培養の最初と云えよう。而してこの方法は極めて不確実なものであつたが,1925年にBoeck and Drobohlav (1925),翌年にDobell and Laidlow (1926)が赤痢アメーバの培養に好適な培地を夫々発表し,これ等がトリコモーナス類の培養にも充分満足すべきものであることが判明して以来,腟トの培養には専らこれ等の培地とそれに類似の組成を持つものが用いられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら