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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻4号

1956年04月発行

原著

妊娠月令より見たる羊水諸性状の消長に関する研究—第2報妊娠月令より見たる羊水の総窒素,残余窒素,総蛋白量について

著者: 新井賢二12

所属機関: 1東京医科歯科大学産婦人科教室 2東京医科歯科大学生化学教室

ページ範囲:P.229 - P.233

文献概要

緒論
 すでに述べた如く,著者は優生保護法による妊娠中絶時及び分娩時より採取せる羊水を試料として,羊水諸性状の月令別消長と同時に各性状間に如何なる相関関係があるかを検討しようと試みたのであるが,第1報に於いてそれ等の研究の中最も基礎的なものとして,羊水量,羊水比重及び羊水pH値等の月令別消長について報告した。
 即ち羊水量については妊娠圧Ⅱヵ月,Ⅲヵ月と漸増し,胎盤形成時Ⅳヵ月にて急激に増量してⅣヵ月よりⅥヵ月に亘つて躍進的に増加するが,Ⅵヵ月を最高として,その後はⅤヵ月に亘り漸減する傾向を認め,羊水pH値については妊娠全経過に亘つて大差なく妊娠後期に稍々高値になる傾向が認められて共に従来の研究報告と一致することを確認した。しかるに比重測定の結果については,従来の文献の大多数が随時採取せる羊水についての測定,即ち月令には関係なきものについての報告のみであり,唯,井上1)が羊水比重の月令別消長について報告しているのみであつたが,この結果は著者のそれと比較するに傾向として一致をみなかつた(第1表参照)。即ち,両者の羊水比重の測定値を比較すると,井上のそれが妊娠初期,中期,後期と月令を逐つて高くなりⅤヵ月にて最大値を示すという結論に達しているのに対し著者の場合は妊娠初期に低く,中期(Ⅵヵ月,Ⅶヵ月)に稍々高くⅧヵ月以後は稍々低下の傾向を示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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