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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻5号

1956年05月発行

文献概要

原著

更年期障害に対するVitamin Eの治療効果

著者: 野町淳12

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室 2三浦市国民健康保険病院産婦人科

ページ範囲:P.291 - P.293

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緒言
 Vitamin E(以下V.E.と略記する)は発見されて以来,流早産の防止乃至予防に主として用いられていたが,血清中のV.E.の含有量が測定される様になつてからは,従来V.E.が必要と考えられていた場合に,その欠乏が認められず1),従つてその投与の適応も変化して来た。且つV.E.に毛細血管の血液循環を促進する作用のあることが認められて以来,内科的には心冠状動脈疾患2),皮膚科的3)には下腿潰瘍,レーノー氏病等に用いられるに至つた。又産婦人科領域ではChute4)がV.E.に依る更年期治療を発表し,近年ではFin-kler5),Holtkampf6)等が是を追試,有効なることを認めて居る。更にBeckmanは1952年更年期障害を示す婦人に血清中のV.E.の含有量が低下していることを認め,是に依り,積極的にV.E.が更年期障害に際して投与せらるべき根拠を有するに至つた。殊にエストロゲンの発癌性作用が云云せられ,更年期障害に際してエストロゲン投与を回避すべき場合に於けるそのV.E.療法の意義は大きい。
 依つて私は,更年期障害を訴える患者に対して高単位のV.E.を投与し,同時に血清中のV.E.含有量を測定して興味ある成績を得たので,少数例ながら茲に報告するものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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