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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻5号

1956年05月発行

文献概要

速報

頸管粘液における結晶形成現象の研究

著者: 豊島研1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.347 - P.362

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 成熟婦人の性器は生殖という生物学的目的の最初の段階である受胎現象に迎合すべく,律動性的な,又調和のとれた周期的変化をいとなむものである。それ故に我々は婦人性器の各部分における周期的変動を詳細に観察することにより,性生理の現象を正確に把握すると共に,性機能の良否の検査に資することができる。したがつて性周期に伴つて起こる種々の生理的現象を排卵の有無,排卵日の推定,Estrogen活動性の評価,妊娠の診断,受胎性の評価等に利用せんとする試みが古くから多数の研究者により行われてきた。すなわち組織学的には子宮内膜及び頸管内膜の周期的変化,腟脂膏の周期的変化,頸管粘液の周期的変化,基礎体温曲線,尿中或いは血中ホルモンの定量等の研究は何れもこの目的に沿うものであり,臨床的にも広く用いられ,不妊症の診断治療,妊娠の早期診断,ホルモン療法等にも欠くべからざるものが少くない。
 元来頸管粘液は卵巣の直接支配下に他性器と相呼応して周期的変化を営み,排卵期には射精された精子の後腟穹窿部及び子宮口における生存,さらに子宮内への上昇,ひいては受精に好都合な物理的化学的条件を備えるものであり,その物理的化学的変化に関しては,Pommerenke,原田等の業績があり,その精子受容性に関してはMiller& Kurzrok, Sims & Huhner等の研究がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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