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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻6号

1956年06月発行

特集 胸廓成形術後の妊娠

胸廓成形術後の妊娠分娩2例に就いて

著者: 塚田清1 山本政太郎2

所属機関: 1立川中央病院産婦人科 2東京医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.387 - P.391

文献概要

緒言
 近来肺結核に対する治療法は格段の進歩を示し,殊に胸部外科手術に依る療法は,その適応を確実に守るならば,他の療法に比し大いに短縮された治療効果を示すに至つた。従つて斯る療法を受けた婦人が妊娠,分娩,産褥に於て,如何様なる経過をたどるか,或は又妊娠中と雖も胸部手術療法によつて後に満期正常分娩を果させ得るや否やは,産婦人科医として深く観察を要する処である。
 元来結核と妊娠との相対関係に就いては異説の存する処であつて,最近迄は妊娠に因り結核は増悪するとの見地から,極めて早期に人工中絶を行い,胎児発育に伴う母体への障害を除くことを主眼とし,不幸妊娠中期以後の結核発見の場合は,中絶は反つて悪影響ありとし,従つて自然分娩を期待し,産褥期に気腹療法をなすべしとの説が多くとられた事は衆知の事実である(Florest1),Cromie2),藤森4),Jone3))。その後「化学療法,抗生物質等の発見,進歩並びに社会施設の改善等から,結核療法も日時と共に変化し,その病態に対する考えも亦大いなる進展を示し,結論的には適確なる治療を採用する限り,妊娠は結核に対し特に悪影響を与えるものでなく,要は病巣の程度と性質に左右される。従つてその予後に於ては非妊娠と格別の差は認められないとするに至つた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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