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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻6号

1956年06月発行

文献概要

海外文献抄録

コーチゾンと妊娠,他

著者: C.Bickel P.Sectetan

所属機関:

ページ範囲:P.466 - P.467

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 動物実験では,妊娠動物にコーチゾンを投与しても母体に害を与えることは見られない。投与量が治療量をはるかに超過しても同様であつた。又児に対する影響は治療量では見られないが,量が多くなると影響がある。胎児のコーチゾンに対する感受性は,動物の種類によつて大いに異る。猿では影響が大で,兎では低く,更にラッテでは殆んど見られなかつた。児に起る変化は投与量,妊娠月数によつて異る。治療開始後数日にして流産を来したり,胎児の倭小化,新生児死亡の増加,稀には胎児奇型を見る。母体に対するコーチゾン投与暈がさして過剰でない場合の胎児の変化は,胎児副腎の重量の低下で,皮質の束状層の萎縮を見る。
 臨床的には,妊娠期間を通じて治療量のコーチゾンを投与しても,一般に母体の健康,妊娠の進展,分娩経過,及び児の生存能力には影響を見ない。しかし,妊娠最終週に75〜100mg/24h,もしくはそれ以上を投与すると,新生児に生後2〜3日目に一時的副腎皮質機能低下を来すことがある。これはコーチゾン供給によつて,胎児の皮質発達が抑制されて居るためであり,正常の機能を獲得する迄約一週間を要する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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