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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻7号

1956年07月発行

特集 産婦人科領域の血液型

ABO式血液型不適合妊娠による新生児赤芽球症の母血清による血清学的診断

著者: 新井大作12

所属機関: 1東京医科歯科大学産婦人科学数室 2東京医科歯科大学法医学数室

ページ範囲:P.491 - P.496

文献概要

緒言
 ABO式血液型不適合妊娠の概念を最初に発表したのはOttenberg1)であり,彼は母・児間にABO式血液型の不適合ある場合には,母の血液が児に移行して,新生児の黄疸を惹起すると考えた。その後,Landsteiner,Wiener,Levine2)等によりRh式血液型が発見せられ,母体が胎児の血液型抗原により免疫され,その為胎児が障碍されて新生児赤芽球症を起すという事実が認識された。その後,Levine3)等により,母・児間にABO式血液型不適合ある時も赤芽球症を起すことがわかつた。赤芽球症の約9割はRh式で説明されるが,残りの1割はABO式によるものである。
 ABO式による赤芽球症の診断は,Rh式によるものに比して困難である。それは,母から移行して胎児血球に附着している抗A,抗B抗体を"直接Coombs試験"により証明することがRhの場合のようにうまくいかない為である。明かに赤芽球症と思われる場合にも,陽性に出ることは少く,又出ても反応が非常に弱い。この試験法は,Rhによる赤芽球症の場合には,胎児血球がRh抗体に感作されているという証明になり,溶血性疾患の確実な診断に役立つている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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