臨床婦人科産科10巻7号

1956年07月発行

特集 産婦人科領域の血液型

ABO式血液型不適合妊娠による核黄疸について

著者： 新井大作¹ 一宮勝也¹ 山村惠次¹ 片山初雄¹ 横山三男² 杉田好朝² 畠山茂³

所属機関： ¹東京医科歯科大学産婦人科学教室 ²東京医科歯科大学法医学教室 ³東京医科歯科大学病理学教室

ページ範囲：P.499 - P.502

文献概要

緒言
　核黄疸（Kernicterus）即ち脳神経細胞の黄疸様着色は赤芽球症死亡児の剖見で屡々見られる。異常の色素沈着それ自身が臓の神経細胞に直接害を及ぼすか否かはわからないが，核黄疸が赤芽球症児に於て死の転機の1つとなる中枢神経の障碍を起し又痙攣，精神障碍その他神経性続発症を起すということは一般的に信じられている。
　ABO式血液型不適合妊娠による赤芽球症で，核黄疸の認められた報告例は本邦に於ては少いが^1），我々は赤芽球症児に交換輸血を行つたが生後間もなく死亡し，剖見により核黄疸なることが判明した2例につき檢索した結果を報告する。