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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科10巻7号

1956年07月発行

原著

妊婦血清ピトシナーゼに及ぼすキニーネの作用に就いて

著者: 金澤太郎1

所属機関: 1東京大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.525 - P.527

文献概要

緒言
 分娩発来の機序に関しては古来幾多の学説があり,今日尚終局的解決を見るに至つていないが,臨床所見並びに動物実験成績より少くとも下垂体後葉ホルモンが果す役割を無視することは出来ない1)。又妊婦血漿(清)中に下垂体後葉ホルモンの子宮収縮因子(O.P.)をin vitroで不可逆的に非活性化する酵素Pitocinaseが多量に存することは,Fekete2)3)以来知られて居り,本物質が分娩発来にあたり減少することが陣痛発来に対し意義があると説くもの,又これを否定するものもある。一方キニーネに陣痛誘発作用のあることは古くより知られ,産科の日常に用いられており,その薬理作用に就ても解明されているようであるが,このキニーネの陣痛誘発作用の一因として,それが妊婦.血清Pitocinase作用を抑制することにより相対的に産婦内分泌性O.P.の作用を増強せしむると主張する者4)もある。もしこの事が真実であるならば,とりもなおさずPitocinase減少が分娩発来にあたり重大な意義をもつこととなる。私はこの点に関し些か実験を試みたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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