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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻10号

1957年10月発行

原著

アンドロゼン投与時の生体反応

著者: 沢崎千秋1 小野和男1 芦田義通1 岡部啓介1 関本泰男1 正岡康蔵1 高田喜彦1 井上薫1 鈴木文七1

所属機関: 1京都府立医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.667 - P.671

文献概要

Ⅰ.まえがき
 最近の医学の著しい進歩に伴い内分泌学領域でも次々と新事実が発見され,その知見を増しつつあり,従つてホルモン剤の臨床応用範囲も次第に拡大されるに至り,ホルモン剤の本来の目的である内分泌状態の整調化に伴う不可避的な生体代謝への影響も亦看過し得ないものとなりつつある。ましてや代謝の亢進をその応用目的としているホルモン剤,就中蛋白同化ホルモンでは,その本主作用は勿論同時に及ぼすその他代謝への諸影響をも考慮してこそ,はじめて適正応用が可能となる。
 生体の生成発育現象は合成過程が分解過程と共軛し,しかも前者が後者に優位した調和に於て営まれていく事を考えると,ホルモン剤の作用を上述のような立場から見ることは真に重要な意味を持つものである。さてそれなら先ず第一にどの代謝への影響を注目すべきかというと,生体反応は水を媒体として行われているから,これを基礎とすることが出来る。ホルモンの水代謝への影響は沢崎1),塚田2)氏が既に実証報告している如く,ステロイドホルモンにはその種類により程度の差こそあれすべてに認められて居り,従つて電解質代謝にも関連し,ひいてはA.D.S.との関係も問題視されつつある現状であり,Pashkis3), Selye4), Homburger5), Thorn6),吉利氏7)沢崎1),塚田氏2)等により報告されているから,常に水貯溜を考慮に入れつつ他の代謝への影響の程度を論ずべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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