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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻12号

1957年12月発行

文献概要

第7回綜合医学賞入選論文

腰椎麻酔の血圧下降防止とテラプチク

著者: 杉原昌太郎1

所属機関: 1岡山大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.855 - P.858

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緒言
 最近我が国に於いても全身麻酔が著しく進歩し,各方面で使用されているが,婦人科方面に於いては手術が骨盤内であるために,麻酔適応範囲は当然下腹部以下で足りるため,依然として腰麻の応用は広い。之は全麻にまさる幾多の利点が見られるためで,例えば,操作が極めて簡単で手術者自ら之を行うことも容易であり,又人手が省けそれにもまして全麻では仲々得難い程の腹筋弛緩が容易に得られ,麻痺時間も長いためである。以上の様な多くの利点を有する腰麻が広く使用されているが,一方には腰麻による危険な合併症として血圧下降と呼吸麻痺の二者があげられる。腰麻は,1898年Bierが始めてコカインを用いてより麻酔薬叉麻酔方法が種々改良され,副作用,偶発事故防止のため種々研究されたが,偶々恐るべき副作用を来して死の転帰すらとるものがある。特に,血圧下降は,腰麻時には必発するもので之を防止する対策は種々研究発表されている。即ち,使用薬剤の選択,或いは注入法の改良,叉麻酔薬を最小必要量に留むべきとか,或いは術前に於ける全身状態の綿密な諸検査等が必要である事は論を俟たないが,他方積極的に腰麻時血圧下降防止の対策を行うのが最も主要な事と考えられる。腰麻時血圧下降は,交感神経麻痺による血管拡張が主をなしているため,今月之の対策として血管収縮剤,殊に交感神経興奮剤が用いられているのは周知の如くである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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