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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻12号

1957年12月発行

第7回綜合医学賞入選論文

クロラムフェニコール100mgを添加したトリコマィシン膣錠によるトリコモナス膣炎の治療経験

著者: 鳥越正1 林公夫1

所属機関: 1山口県立医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.861 - P.863

文献概要

はしがき
 Donnéによつて発見されたTrichomonas va-ginalis (以下「ト」と略称する)はHoehneの広範なる研究以来,その病原性も確定し,治療法は相ついで発表されている。即ち昇汞洗滌,硼酸グリセリン療法,乳酸,ビクリン酸,メチレン青,ヤトレン,ヒノワギン,デベガン,スチロガン等が用いられていたが,充分の効果があつたとは言えない。第二次大戦後は先ずカルバルゾン製剤が登場し,沢崎,楠本,木下,西島,加藤,藤生等がその粉末,水溶液或いはカルバギン錠,ペニギン錠等を用いての治療成績を発表している。これらは何れも第一次治癒率は100%であるが再発が多く,50〜70%に及ぶと言われている。次いでキノフォルム,テトロニール等が使用されているが未だ充分とは言えない。更に又抗生物質の万能性が認められて以来,オーレオマイシン,クロロマイセチン,トリコマイシン等が使用されており,みるべき成績をあげている。特にトリコマィシンは,1952年細谷がstreptomyces hachijoensisの産生する物質より抽出精製Lて得られたもので他の抗生物質の無効なるカンデイダ,原虫類に対しても強力なる殺滅作用を有している。西村等はこのトリコマイシン腔錠を用いて「ト」の治療をなし第一次治癒93.1%,治療終了後4週以内の再発34.9%と言う威績を発表している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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