文献詳細
手術・手技・麻醉
子宮内容除去術における静脈麻酔剤Thiobalの使用経験
著者: 寿田鳳輔1 一宮勝也1 黒坂浜郎1 寺門運雄1 片山初雄1 平野俊雄1 稲田裕1 神山善三1 村越淳七1 山口裕2
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産婦人科教室 2東京医科歯科大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.897 - P.901
文献概要
近年静脈麻酔剤が多種多岐にわたり,改良或いは創製せられ,各領域の手術に応用されている。産婦人科領域においては殊に妊娠初期の子宮内容除去術に際して短時間麻酔に多く利用され,われわれの教室でも早くから麻酔の研究の一端として各種手術に種々なる適応した麻酔剤を用い,その効果及び安全性等について検討報告してきた。従来,静脈麻酔としてWeise(1932)のEvipan-Naに始まり,国産品としてHexobarbital系 (Evipan, Bonodrin, Auropan, Cyclopan,Ortopan)が一時賞用されたが,既知の如く,しばしば全身痙攣,筋播搦,覚醒時の興奮等の随伴症状を示すことがあり,わが領域では,これらの使用は少くなつてきた。それに反して注目されることは,近時barbital誘導体の合成が盛んになり,特にLundy (1934)のPenthotal-Sodiumに始まり,国産品としてはThiopental系(Rabonal,Thiobal)及びSurital系(Amipan)等がある。これらは前記の如き,不快な随伴症状もなく,体内における吸収分解が迅速であるため,麻酔調節が容易であり不安興奮が少く安全域が広い点が推奨せられている。われわれの教室においても既に静脈麻酔剤としてAuropan-Na(1949),Rabonal(1954),Amipan(1954)について報告した。
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