icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻13号

1957年12月発行

特集 麻酔の進歩

麻酔学及び麻酔医の独立

著者: 綿貫喆1

所属機関: 1東北大学医学部麻酔科

ページ範囲:P.949 - P.951

文献概要

 痛みから逃れようとする試みはおよそ人類が始まつた時から行われて来た。原始人でさえも打撲を受けると冷水でひやしたり,また疾病にかかると祈祷によつて治そうとしたらしい。また紀元前からすでにギリシャ,ローマ,エジプト,アラビヤあるいは中国においては,ケシ,ヒヨス,大麻,マンダラゲ等を用いて疼痛を和げていたという記載がある。手術の時の疼痛を無くそうとする試みもいろいろ行われたらしく,13世紀にすでにイタリーで催眠剤を用いて手術を行つたといわれている。しかし近代医学がルネサンス以後に大いに発展したと同様に麻酔の進歩の歴史においてもルネサンスの後に目ざましい発見が行われた。
 エーテルはすでに13世紀にRaymond Lulliusによつて発見され,15世紀に至りParacersusやValerius Cordusによつて再発見されていたが手術の際の無痛の目的には使われていなかつた。18世紀に至ると英国のJoseph PriestleyによつてCO2(年代不詳),O2(1771),笑気(1772)がつぎつぎに発見され,笑気はHumphry Davyにより,エーテルはその弟子であるMichael Faradyによつてその作用が研究され,ともに手術の際の無痛に用い得ることが暗示された。しかしこれらが実際に手術の際の無痛の国的をもつて用いられるにはなお相当の年月を要したのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら