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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻13号

1957年12月発行

特集 麻酔の進歩

麻醉前処置としての強化麻醉

著者: 實川佐太郎1

所属機関: 1大阪大学医学部第一外科学教室

ページ範囲:P.1025 - P.1031

文献概要

Ⅰ.まえおき
 強化麻酔は神経遮断剤を混合して各々の相乗作用を利用し,通常の麻酔薬の効力をたかめるのに役立っ。之等薬物の単独の作用量以下の用量の組合せで,お互いの薬理学的効果が強化され,単独では麻酔を得るのに不充分な少量の麻酔薬で,満足な麻酔状態に導入することが出来る。混合遮断剤の主力となるものは,クロルプロマジン・プロメタジン,ヂエタジン,ペカジン等のフェノチアジン誘導体である。フェノチアジン誘導体がこの方面に導入されたのは約10年前からにすぎない。そもそもフェノチアジン誘導体は抗ヒスタミン剤として合成されたもので,その薬理学的検討の過程で,自律神経系や植物神経系への効県が確認され,以後のこの方面の研究の発展が,今日の臨床への貢献を導いた。
 Bronchospasmはヒスタミン投与により実験的に誘発されることは周知の事実であるが,1947年,Lerman等はフェノチアジン誘導体の一つであるプロメタジンを投与しておくと,このBron—chospasmが抑制される事を認めた。一方Hal—Pern等はアドレナリン投与後の家兎の急性肺水腫に対し,プロメタジンが予防的に有効である事を観察した。Reuseはアドレナリンの生体に対する毒性が,プロメタジン投与により著しく低下する事を報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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