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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻13号

1957年12月発行

文献概要

特集 麻酔の進歩

ホルモン剤の麻醉作用

著者: 赤須丈男1

所属機関: 1東邦大学

ページ範囲:P.1032 - P.1038

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 末期子宮癌の苦痛に対して大量の男性ホルモンが投与され,その結果として疼痛の緩和消失・体重の増加,食欲の亢進,爽快感の獲得などの好果が得られ,人によつては癌病巣自体に治癒的効果が得られたかに報ぜられたが,患者に直接接して得た私の印象は,男性ホルモン投与で,丁度モルヒネを投与した後のようなeuphorischの状態になるという点であつた。そして癌病巣を組織学的に検したところ,男性ホルモン投与前と連用後との間に著変はなく,要するに治つていないという事実が明かにされた。要するに,これは男性ホルモン大量投与による麻酔効果が大きく関与していると思われ,当時から私は1)その見解を述べてきている。
 けれどもステロイドホルモンの麻酔作用についてはすでにSelye2-5)の発見的業績がある。 Selyeはメス,オスのラットを5群に分け,夫々に,DOCA, Progesterone, Testosterone, Estra-diol, Cholesterolを夫々1.5ccの落花生油に35mg宛溶解し1回に腹腔内に投与した。その結果は15分後に於てDOCA, Progesterone投与メスラットは全部麻酔に陥り,オスは少数のみ麻酔された。Testosteroneでは1時間後にメスのみ麻酔に陥った。EstradiolとCholesterol投与では麻酔例をみとめなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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