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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻2号

1957年02月発行

原著

思春期婦人の周期性機能の発達に就いて殊に都市と農村との比較

著者: 松本清一1 福島省吾1 若松歌子1 瀬川煕1 宮部黎子1

所属機関: 1関東逓信病院産婦人科

ページ範囲:P.100 - P.105

文献概要

1.緒言
 思春期は小児期から成熟期へと移り行く時期であつて,この間に卵巣機能は殆んど休止している状態から完全な機能状態へと発達すると共に,また身体的にも精神的にも全身に著明な変化が起る。ただし思春期に於ける卵巣機能の発達は決して休止状態から或る時を境として一気に完全な状態へと飛躍するようなものではなく,おそらく次第次第に変化しつつ完全な機能状態へと漸次移行して行くものだろうことは,今日種々研究結果から想像される所である。一方子宮からの初めての出血,すなわち初潮は,卵巣機能が或る程度発達し,卵胞が殆んど成熟卵胞にまで到達して,そこから分泌されるestrogen量が子宮内膜を変化させる程度にまでなり,且つ子宮がそれに反応出来れば,排卵の有無に拘らず,子宮内膜に対する卵巣ホルモン作用の結果として招来されるのである。従いなか潮前に卵巣機能の発達課程が全く行われてつて初つたわけでもなく,また初潮によつて,卵巣の機能が完成したと老えることも出来ない。すなわち初潮は卵巣機能の発達に伴つて起つてくる性器の発育や第2次性徴の出現などと同様に,思春期という移行期に現われる多くの徴候のひとつに過ぎず,卵巣機能発達課程の1時期を示すものであつて,思春期の間のいかなる時期にも起り得るものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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