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症例研究
所謂未解決卵巣充実性腫瘍(樋口)の1自験例に就いて
著者: 岡俊勝1 吉成勇1 清水昭1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産科婦人科教室
ページ範囲:P.113 - P.116
文献購入ページに移動卵巣充実性腫瘍は元来比較的稀なもので,その中には難解且つ学術的に興味深い腫瘍が少くない。樋口教授(1950)は「卵巣充実性腫瘍」を系統的に観察して分類した。更に樋口,天野(1952)は従来見解の一致を見ない卵巣充実性腫瘍例として1系の腫瘍群(未解決性腫瘍A群)を発表した。その後樋口,小林(1953)は未分化胚細胞腫の予後不良群を再検討し,腫瘍全体が定型的Disgerminome像のみを示す単一型及びDisgerminom像と管状網様或いは腺様配列及び乳嘴状構造が混在する混合型(未解決腫瘍B群)の2者を区分,且つ又B腫瘍群組織中にはA腫瘍群と極めて類似した腫瘍要素を認め,更にA腫瘍群とB腫瘍群が臨床的にも又類似の傾向を示す事を報告,2者の関連性を示唆した。更に樋口,劉(1956)はEwing, Pick等の奇形腫説の面より上記の未解決腫瘍群を追究し,腫瘍組織の全割面検索を施行,前述のA群様部或いはB群様部にTeratoidesElementの混在する1群(未解決腫瘍C群)を認めて報告した。我々も最近C群に属すると考えられる卵巣充実性腫瘍の1例を経験し,略々その全経過を追及し得たのでここに報告する。
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