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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻3号

1957年03月発行

手術手技

人工妊娠中絶の手技に就いて

著者: 舘繁雄1

所属機関: 1名古屋市舘産婦人科医院

ページ範囲:P.189 - P.196

文献概要

1.緒言
 終戦とともに,戦時中の法規は殆んど廃棄せられたが,独り国民優生法第16条は世相に抗して残存した。
 国敗れ,国家は経済上破綻に見舞われ,国民生活の保障すら出来ず,国民は「インフレ」の波に押し流され,全く塗炭の苦しみに喘ぎ,殊に家族の増加を極度に怖れ,既に妊娠している者は,これを中絶するために,産婦人科医或いは非医者の許を訪れて,非合法の手術を求めた。当時は深刻な世相の進度が速く,法的措置が遅れていた結果,戦時中の国民優生法第16条の該当事項,即ち生命に危険を及ぼす疾病の場合にのみ中絶手術が許されていたために,産婦人科医は世相と法との板挾みとなり,一部には法的制裁を受けた者もあり,又は強迫,恐喝を被る等,不愉快な事態の発生に悩まされた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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