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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科11巻4号

1957年04月発行

文献概要

原著

ポリサッカリード様物質を主体とする胎盤水溶性物質に依る子宮癌反応に就いて

著者: 片渕陽一1

所属機関: 1久留米大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.240 - P.243

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1.緒言
 古来癌に対する診断法は枚挙に暇なく,皮内反応のみにても十指に余る。1946年松原は,癌反応に関する第1報を発表,旺盛な増殖を営む癌組織及び絨毛膜絨毛組織より水溶性物質を抽出し,癌患者並びに妊婦に対し皮内反応を呈することを報じ,次いで1949年に胎盤から妊婦に特異な皮内反応を呈する水溶性物質を分離抽出し,これを皮内に注入する事に依り癌及び妊娠の早期診断に応用出来ると報告し,多方面より注目されている。私は本反応の婦人科領域癌に於ける臨床的価値を知るため,①妊娠10ヵ月の胎盤,②妊娠5ヵ月以前の胎盤及び絨毛膜絨毛,③手術に依り剔出された子宮頸癌組織より松原法に従い自家作製した抽出液及び,④田辺製薬のM.C.R液を子宮頸癌,尿道癌等の患者に使用し,これ等各々に依る皮内反応の陽性率並びに不合理陽性率等を比較検討し,妊娠3ヵ月未満の絨毛膜絨毛及び4並びに5ヵ月胎盤混合抽出液の場合に,最も良好な成績を得た事は既に発表した所である。これは妊娠早期の絨毛膜絨毛及び早期胎盤細胞が,成熟胎盤細胞より旺盛な増殖を営む点に関係あるものとも考えられ,尚小林の人胎盤糖原発現分布検査報告等とも関連が考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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