文献詳細
文献概要
症例研究
後腹膜脂肪腫症の1例
著者: 山本文男1 田島大像1
所属機関: 1山口赤十字病院
ページ範囲:P.326 - P.330
文献購入ページに移動1.緒言
1829年Lobsteinが始めて,後腹壁腹膜下に発生し,腎,副腎,膵並びに性器に関係なき腹膜下腫瘍を記載して以来,本症例に関する報告は内外,外科,内科,泌尿器科並びに婦人科領域に於いて多数発表された。併しその診断はしかく容易ではなく,予後も又不良なものが多い。本症の予後を推定するには,何よりも確かな診断が必要である。筆者等の一人,山本は嘗つて,卵巣腫瘍と誤つた後腹膜線維腫を経験し,今回再び同様の誤診の下に後腹膜脂肪腫を経験した。幸い,両者共良性腫瘍であつた為,良好な経過を辿つたが,本症の診断の困難さを痛感した。この機会に本症に関する内外の症例を集め得たので,我々の経験を報告すると共に,文献的に見た後腹膜腫瘍に就いての概略を述べて見たい。
1829年Lobsteinが始めて,後腹壁腹膜下に発生し,腎,副腎,膵並びに性器に関係なき腹膜下腫瘍を記載して以来,本症例に関する報告は内外,外科,内科,泌尿器科並びに婦人科領域に於いて多数発表された。併しその診断はしかく容易ではなく,予後も又不良なものが多い。本症の予後を推定するには,何よりも確かな診断が必要である。筆者等の一人,山本は嘗つて,卵巣腫瘍と誤つた後腹膜線維腫を経験し,今回再び同様の誤診の下に後腹膜脂肪腫を経験した。幸い,両者共良性腫瘍であつた為,良好な経過を辿つたが,本症の診断の困難さを痛感した。この機会に本症に関する内外の症例を集め得たので,我々の経験を報告すると共に,文献的に見た後腹膜腫瘍に就いての概略を述べて見たい。
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