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原著
Androstanolone ester (男性ホルモンのデポー剤)による体重増強作用について
著者: 赤須文男1 原野道子1 朝倉富美子1
所属機関: 1東邦大学医学部産婦人科教室
ページ範囲:P.533 - P.540
文献購入ページに移動蛋白同化を促進することは,未熟児や重症消耗疾患患者を救済するために甚だ緊要な処置であり,近時この目的を達成するために,男性ホルモンが用いられている。このさい男化作用の強いホルモンをはなれて,同化作用は強いが男化作用は強くないホルモンを求め,Methylandrostenedi-ol(MADと略)が用いられ,あるいは男女性混合ホルモンが用いられてきている。
1935年Kochakian a.Murlin 1)は男子尿エキスが一定飼育状態下で去勢犬に対して男化作用を及ぼすのみならず,窒素を蓄溜させる能力のあるのを見,更に,同様の犬に対してTestosterone(以下Tと略す)あるいはTestosterone acetate(T.A.と略)が同様窒素蓄溜作用のあるのを認めた2)。その後,同様の動物実験が多くの学者によつて報告されている。臨床上はKenyonら3)によつて,Testosterone propionate(T.P.と略)が類官症や正常人に用いたとき,尿中窒素排泄を減少させるのをみとめた。以上の如く,男性ホルモンは尿中窒素排泄抑制作用と共に男化作用を持つている。T.P.はこの他に燐もKaliumも蓄積させる。又,Calciumも同様であるのは骨形成に関与するためと思われる。
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