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臨床原著
自律神経症候群に対するMeprobamate(Atraxin)の治療効果に就いて
著者: 吉崎宏1 麦倉義司1 阿部務1
所属機関: 1東北大学医学部産婦人科教室
ページ範囲:P.617 - P.620
文献購入ページに移動自律神経症候群に対する療法に関しては既に幾多の報告がなされているが,この疾患に対するMeprobamate (Atraxin)の治療効果を検討する機会を得たのでその結果を報告する。
Meprobamateは1946年Berger Bradleyにより発見されたMephenesinが筋弛緩剤としてのみならず,Hermannらにより精神神経患者の不安状態の鎮静に有効なことが発見されたが持続時間が短く実用的でなかったのを1950年Ludwig &PiechによりMephenesinと同様Propanediol誘導体として合成されたもので下の如き構造式を有し,化学名は2—methyl−2—n-propyl−1,3propanedioldicarbamateと呼ばれ,白色結晶性粉末,融点104〜106℃,水に僅かに溶解し,多くの有機溶媒に可溶である。又環構造や不飽和結合を持たない直鎖状の飽和化合物であるため,習慣性や副作用が少ないと云われている。Meprobamateの薬理作用は筋弛緩作用,抗痙攣作用及び精神安定作用であると云われ,中枢ノイロン間の阻止作用が強く,中枢神経特に視床に最も強く作用することが証明されている。
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