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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻1号

1958年01月発行

薬剤の臨床

Pregnanediol錠の使用経験(その1)

著者: 楠田雅彦1

所属機関: 1九州大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.43 - P.48

文献概要

 我々は日常診療に当つて,ステロイドホルモンを使用した際に屡々不快な副作用を経験する事がある。即ち注射部位の発赤,腫脹,硬結,疼痛等,一見炎症を思わせる症状や,嘔気,頭痛,発疹,顔面浮腫等で,これは内服によつても起る事がある。これ等の反応は甚だ特異的でありわれわれは通常これを患者に対して「体質に合わない」と説明していた。尤もステロイドホルモンの油性液を使用していた頃は,患者が油剤に敏感な為であろうと考えていたがその後結晶懸濁液や内服錠を使用する様になつても反応を起す事があり,この説明が非常に困難になつて来た。又所謂月経前障碍ないしは月経前緊張症と呼ばれる月経前に起る一過性の頭痛,乳房痛,下腹痛,不快感,その他の一連の症候は血中ステロイドホルモンが増量する時期に起るものであり,更年期障碍もその多くは血中エストロゲン量はむしろ増加している場合が多いと言われている。
 ここで最も考えられるのはアレルギーの概念である。1945年,Zondek, Brombergは内分泌腺から生ずるホルモンがアレルゲンたり得るとして,これらの副作用は内因性アレルゲン(endogenousallergen)による「ホルモン性アレルギー」であると主張した。その後Bear (1948),Heckel (1951)により新たに検討され,我国では尾島(1956)がその臨床応用を発表している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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