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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻10号

1958年10月発行

文献概要

文献抄録

内膜癌と卵巣実質の過剰増殖との関係/子宮内死亡診断上重要な胎児体内・ガスのレ線影像

著者: A.J.0.G. J.W.Radick

所属機関:

ページ範囲:P.784 - P.784

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 更年期に於けるstromal hyperp-lasiaと呼ばれる卵巣の変化と内膜癌の病因に関する文献の要約を記した。そして提唱者は331例の手術的剔除を行つた内膜癌と307例の剖検で得られた対照の卵巣を調査して,内膜癌では非内膜癌患者よりも卵巣に於けるstromal hyperplasiaが著明に多いことを発見した。
 著者等は42例の他の疾病で手術的に得られた卵巣を対照として40例の手術された内膜癌患者の卵巣を調査して,内膜癌群と非内膜癌群との間に顕著な差はなく,従来の報告を確認できなかつた。そしてこの少数例の所見から内膜癌を有する婦人の卵巣について,今まで報告されていた非特異的な変化は内膜癌のない人でも同じ程度に発見されることを記している。これに対しJ.I.Brewerが賛意を表しstromal hyperplasiaということの意義は疑問で,これがエストロゲンを発生するという明記は何もない。そしてBrewerは以前にも過量のエストロゲンか活性のエスロトゲンが内膜癌を起すという説には反対し,内膜癌でも癌になつていない内膜の部分は正常の卵巣周期に一致しており,特にエストロゲンの作用を強く現わしていないと述べている。そしてこの問題は大局的に冷静に所見を判断せねばならぬ問題で慎重を要すといい,stromal hy-perplasiaは臓器の癌とも関係はなく,発癌に原因的な意味を見出せないと述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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