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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻10号

1958年10月発行

文献概要

薬剤の臨床

Androstanoloneによる体重増強作用について

著者: 郡延夫1 渡辺英子1

所属機関: 1東邦大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.801 - P.805

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 食物の同化は各個人によって差異があるばかりでなく,同一人においてもその年令または身体状態によつてかなりの変動がある。たとえば栄養食の不足によらないるい痩もあれば,また種々の疾病その他に起因する栄養物の不均衡による痩せ細りもある。
 従来,これらに対しては同化のそこなわれている栄養素を人為的に添加することをもつてその治療となすにとどまつていたが,1935年Kochakiana.Murlin1)が男子尿エキスを去勢犬に投与したさい,このエキスが男化作用のみならず,同時に窒素蓄積の能力のあることを発見して以来,更にその後Testosterone,あるいはTestosteronepropionateが同様に窒素蓄積作用のあることが報告され2),臨床上においてもKenyon3)らによつてTestosterone propionateが類定官症患者や正常人に対しても尿中窒素排泄を減少させることが明らかにされるに到つた。近時,Eisenberga.Gordon4)によつて動物の挙肛筋測定が蛋白同化作用の指標として採用され,応用されるに到つて,この方面の研究は著しく進歩した。蛋白同化を促進させることが末熟児や重症の消耗性疾患の治療に当つて甚だ重要なことであり,この場合,体重増加そのものよりも,むしろ増加を来すことによつて体力に活を入れ,これを出発点として活溌な生体活動の展開が行われることにも期待してよいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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