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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻11号

1958年11月発行

雑誌目次

グラフ

押潰法を以てする悪性腫瘍細胞染色体の研究

著者: 野嶽幸雄 ,   田村昭蔵 ,   村井一太 ,   竹村敏朗

ページ範囲:P.855 - P.858

1.悪性腫瘍と染色体
 悪性腫瘍の形態的研究は,組織学(histology)に始まり,細胞学(cytology)となり,核学(karyology)に進み,最後に染色体学(chromosomology)に落ちついた。
 最近になり,悪性腫瘍と染色体の数や形態との関係は,研究の主要な対象となつた。

綜説

性中枢刺激物質について

著者: 鈴木雅洲 ,   小林光世 ,   村上治夫

ページ範囲:P.859 - P.862

緒言
 生体に於ける性機能は間脳・下垂体前葉・性腺の相関作用により営まれていることは既に明らかである。性機能不全の場合にはその原因が間脳・下垂体前葉・性腺及び性ホルモン作用を受ける各種受容臓器の四者の何れかに原因があるものと考えられる。現在性機能不全には,性ホルモン投与法及び性腺刺激ホルモン投与法が行われている。然るに,この外,性中枢に直接治療を行う方法と,末梢受容器に治療を行う方法とが仮定されるが,これらの方法には,未だ実際に治療に使用できるものがなくこの分野に於ける新治療法の出現が期待されている。今問題を中枢に限り向中枢作用のある物質(之等の物質の作用は,主として雌家兎排卵及び鼠偽妊娠反応によつて検定されている)の種類及びその作用にっいて綜説することとする。

臨床研究

内分泌疾患Ⅷ.肥満症について

著者: 唐沢陽介 ,   岩崎寛和 ,   鈴木博 ,   岡富峻 ,   大島清

ページ範囲:P.865 - P.871

I.緒言
 内分泌学の進歩に伴い,各種ホルモンが物質代謝に果す役割も次第に明らかになりつゝある。一方肥満症の本態は最近医学の大きな研究課題の一っとして注目を集めるに至り,この方面へ内分泌学の知見を導入しようとする努力が続けられている。しかし今尚未解決な点が極めて多いのである。すべてのことがらが充分に説明づけられていないとは云え,肥満が月経異常に極めて密接な関係を有していることはわれわれが日常数多く経験することであつて,両者の因果関係の詳細は兎も角としてこの二つの現象の問には切り離すことの出来ない関連性のあることは明白である。
 従来肥満症の発症因子は体外性(exogen)のものと体内性(endogen)のものとに分けられている。前者は個体が消費するカロリー以上のものを摂取する為に,有り余ったカロリーが脂肪化して身体各所に沈着して行くもので,こういつた現象を本症の成因として極めて重要視しようとする研究者もかなり見受けられる。一方体内性因子とはCushing氏症候群や生殖器萎縮性肥満症等によつて代表される一連の疾患に内在するもので,摂取カロリーの多寡に関係なく肥満を招来するものである。われわれが臨床上数多く遭遇する肥満の程度は様々であるが,いわゆる体内性因子によると考えられる場合が少くない。その経過中に食餌の過量摂取を証明し得る症例でも,発症の要因は広い意味での体内性因子によると思われることが多い。

LórándのTokographによる陣痛の描記とその臨床応用

著者: 藤井久四郎 ,   寿田鳳輔 ,   黒坂浜郎

ページ範囲:P.873 - P.884

 妊娠,分娩,産褥時における子宮運動は,生理現象としてのみならず,その臨床的重要性の故に既に19世紀から研究または関心の対象となつた,しかしその手段となる子宮運動描記装置には具備せねばならぬ条件があるからその製作は必ずしも容易ではないが昨年われわれはLóránd (1951)のTokographを入手し,その性能を実証し得たので報告する。大要は第9回日産婦会総会の宿題報告に述べたが,今回は妊娠分娩産褥時のToko-grammを中心に先ず報告し,更に授乳との関係に言及したいと思う。

文献抄録

子宮筋層に於けるNa24のClearance rate

著者: J.Obs. ,   Gyn.Brit.Emp.LXIV

ページ範囲:P.871 - P.871

 妊娠末期の患者の腹壁上よりNa2410μcを子宮筋層に注射し,その部位の腹壁上よりGeiger Mülcer Co-unterで放射能の減衰を時間的に計測し半減する迄の時間(分)を以てClearance rateとし,子宮筋層の有効循環量を表現するものとした。大体5〜10分である。87例につき検討した。正常妊娠初産婦では予定日を過ぎると有意の延長が見られた。子癇前症でも正常に比べて有意の延長あり,特に予定日を過ぎると延長が著明になる。経産婦では例数が少ないためか有意の差は見られなかつた。子癇前症では高年者に比して若年者の方が時間の延長が著しい。これは高年者には良性の潜在性高血圧が多く含まれるためと考えられる。Clearance rateは血圧の高低,蛋白尿の程度,胎盤重量,児体重には関係ない。降圧剤と子宮筋層循環との関係を検討するのに適した方法であると考えられる。

実験研究

発情ホルモン性マウス子宮内膜増殖に対する抗腫瘍性物質の影響

著者: 高田智

ページ範囲:P.886 - P.896

緒言
 発情ホルモン(Estrin,Estradiolまたはそれらのbenzoate ester)が長期間,連続的に作用すると,動物の子宮に病的増殖(子宮の異常肥大,線維腫形成,内膜の非定形的増生等)を惹起することは,多くの学者等の広範な研究によつて良く知られている。即ちラッテについてはZon-dek1),Selye,Thompson and Collip2),McEuen3),Grumbrecht4),Kaufmann and Steinkamm5),Korenchevsky and Hall6),Korenchevsky andDennison7)等,またマウスについては,Lacas-sagne8),Allen and Gardner9),Pfeiffer10),Loeb Suntzeff and Burns11),Suntzeff BurnsMoskop and Loeb12),家兎についてはZondek13),また印度猿についてはOverholser and Allen14),Engle and Smithl5),Hisaw and Lendrum16)等の実験がある。また子宮内膜の非定形的増生が,可逆性変化より不逆性変化に転じ,悪性腫瘍を発生するに到り得ることのあることをMc Euen17,Allen and Gardner等が報告している。

症例研究

不妊の綜合的診断と治験例

著者: 松岡広次 ,   高橋堅太郎

ページ範囲:P.899 - P.903

緒言
 不妊の診断治療は男女両性につき綜合的に施行されねばならぬのが当然であるが,男性側の原因の探求は婦人科医が行いにくい為に男性に原因があり女性に異常なきにも拘わらず女性に無用の治療が行われている事があるのを時に発見される。
 不妊原因を大別すると,卵巣,卵管,頚管因子及び男性側因子に区分出来る。われわれは綜合的に診断治療を行うために原因探求法として,排卵の有無の判定のためにはB.B.T.(基礎体温)測定,卵管の閉塞或いは異常の有無を知るためには通気及び造影法,精子の子宮頚管粘液との適合性を知るためにはHuhner testを行い,HuhnerTestの成績の良くないものについては精液検査を施行,その量,数,運動性等について精査し,原因を求めて其の治療を行つて居るが,その中から興味ある十数例について発表する。

短期間に反復せる卵管妊娠の2例

著者: 乗杉基

ページ範囲:P.905 - P.906

緒言
 子宮外妊娠は屡々遭遇する疾患であり,またその反復例は決して稀ではないが,短期間内の反復例は比較的少い。私は第1回目の卵管妊娠手術後から146日目及び286日目に第2回目の卵管妊娠初発徴候が反復発現した2例を経験したので報告する。

腹壁月経瘻の3例

著者: 野村秀夫 ,   田川清和

ページ範囲:P.909 - P.913

まえがき
 われわれは最近3例の腹壁月経瘻を経験したので,これについて報告する。いずれも開腹術後に腹壁月経瘻を起して送られてきたものである。Max Ballin1)が月経瘻とは,「月経時に一致して周期的に出血を見る腹壁瘻を云う。」と定義しているもので比較的稀なものである。

日常診療メモ・Ⅲ

子宮の単純全剔除術と腟上部切断術とに関するメモ

著者: 清水直太郎

ページ範囲:P.915 - P.920

 この両手術は婦人科に於ける開腹術中の主幹をなす常用の手術である。その術式の根本的な点は多くの成書に述べてあるように大体不変であるが,細部に於いては術者の思考等によつて異なり,然もそれが手術結果の良否に相当関係する。術式中最も苦心し,色々と工夫される点は尿管損傷の危険を如何にして確実に,且つ簡単に避けるかということである。この危険は子宮の腟上部切断術の際にも皆無ではないが,非常に少いのに反して全剔除術では非常に多いから,全別除術の時には尿管を周囲から剥離露出し,尿管を直接見ながら手術すれば最も安全確実である。然し尿管をその走行を追つて露出することは,操作が煩雑であるだけでなく,その操作自体が尿管の損傷を誘発することもある。よつて尿管を露出することなく確実に尿管を損傷しない操作に苦心が払われる。以下著者が多年行つている術式を,特に注意しなければならぬと時折メモしておいた点に就いて述べることにする。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

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69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

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