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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻11号

1958年11月発行

臨床研究

内分泌疾患Ⅷ.肥満症について

著者: 唐沢陽介1 岩崎寛和1 鈴木博1 岡富峻1 大島清1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.865 - P.871

文献概要

I.緒言
 内分泌学の進歩に伴い,各種ホルモンが物質代謝に果す役割も次第に明らかになりつゝある。一方肥満症の本態は最近医学の大きな研究課題の一っとして注目を集めるに至り,この方面へ内分泌学の知見を導入しようとする努力が続けられている。しかし今尚未解決な点が極めて多いのである。すべてのことがらが充分に説明づけられていないとは云え,肥満が月経異常に極めて密接な関係を有していることはわれわれが日常数多く経験することであつて,両者の因果関係の詳細は兎も角としてこの二つの現象の問には切り離すことの出来ない関連性のあることは明白である。
 従来肥満症の発症因子は体外性(exogen)のものと体内性(endogen)のものとに分けられている。前者は個体が消費するカロリー以上のものを摂取する為に,有り余ったカロリーが脂肪化して身体各所に沈着して行くもので,こういつた現象を本症の成因として極めて重要視しようとする研究者もかなり見受けられる。一方体内性因子とはCushing氏症候群や生殖器萎縮性肥満症等によつて代表される一連の疾患に内在するもので,摂取カロリーの多寡に関係なく肥満を招来するものである。われわれが臨床上数多く遭遇する肥満の程度は様々であるが,いわゆる体内性因子によると考えられる場合が少くない。その経過中に食餌の過量摂取を証明し得る症例でも,発症の要因は広い意味での体内性因子によると思われることが多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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